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2021.04.12
【福岡市スポーツ協会強化事業】コーチングクリニックの振り返りノートを公開しています。
令和2年度 コーチングクリニックノート.pdf(858.85Kb)
福岡市スポーツ協会強化事業
「コーチングクリニック〜ジュニアトップアスリートの育成〜」開催。ジュニア層の指導者育成を目的として、毎年、指導者研修会が開催されています。今回は、地域貢献活動として障害予防教室を数多く開催している当院に、講師・講演の依頼をいただき開催が実現しました。当日のコーチングクリニックでは、指導者を対象とした「ケガの予防」と「コンディショニングの理解」について、講義とグループワークを交えながら実施しました。
スケジュール
開催日時:2021年2月9日(火) 18:30〜場所 :オンラインにて開催
参加者 :指導者21名
スタッフ:
【福岡市スポーツ協会】
司会:事業課スポーツ振興係 陶山貴弘氏
【南川整形外科病院】リハビリテーション部
講師:長島将太
アシスタント:櫻井智恵・内田順己
ファシリテーター:鶴田崇・伯川広明・今林昇吾・山下梓・高島貴弘
子どもたちにスポーツの歓びを
コラボ企画開催の背景
福岡市では「全国体力・運動能力、運動習慣等調査(全国体力テスト)」において、多くの項目で全国平均の数値を下回る結果となっており、子どもの体力・運動能力の低下が問題となっています。今回は、福岡市スポーツ協会や実績のあるスポーツトレーナーと協力・連携しながら、ジュニア層指導者へ具体的な指導方法を解説することで、地域の子ども達のスポーツ活動を活性化させることを目標に事業に取り組みました。実施要項の詳細
目的:ジュニア層の競技力向上のため、指導者へ適切な指導法を伝え、よりレベルの高いトップアスリートの育成につなげることを目的とする。主催:公益財団法人福岡市スポーツ協会
共催:福岡市
会場:福岡市民体育館 ※オンライン開催に変更
対象:ジュニア(小・中・高)の指導者またはジュニアの指導に興味がある方。
講師:南川整形外科病院
テーマ:「ジュニア世代に身につけるべき動き・トレーニングとケガの予防について」
内容:ジュニア世代によくある身体の特徴と障害について理解し、ウォーミングアップや専門的トレーニング、ケガ予防について講義と実技に分けて指導する。
ケガをしにくいカラダの条件
ゴールを設定しプロセスを考える
なぜグループワーク?グループワークの視点。
従来の指導者を中心として行われてきた練習方法の在り方から、選手の考えを尊重し、考える環境を作ること。相手を効果的に動機づけし、自発的な行動を引き出す「コーチング」への取り組みが注目されています。ゴールを設定し選手自身に考える機会を与え、個人個人が「自分は何をすれば良いのか?」「自分には何ができるのか?」など、プロセスを考え工夫することを体験してもらうために、グループワークに取り組んでもらいました。
※指導者/保護者/医療機関/行政等のスポーツ競技に関係する各個人・団体の役割とは、選手個人個人が自ら考え工夫し、行動するための環境づくりであり、人間的な成長をサポートすることが求められています。
グループワークのルール
《グループワークについて》■ゴール:現場と医療機関の意見に基づいて
それぞれの指導方針を共有する。
■目的 :コミュニケーションの必要性を理解。
グループ共有のビジョンを持つ。
《基本ルール》
① 全メンバーが話し合いに参加すること。
② 全メンバーが同意するまで話し合うこと。
※「それはダメ」はダメ!意見を尊重する。
グループワークのポイント
《みんなが参加するためのポイント》Step1 「言語を共有」
Step2 「話題を共有」
《進め方》
①状況把握:参加者お互いの知識、意見を把握。
②方針確認:指導方針の案を出す。特徴を捉える。
③方針比較:指導方針の比較、検討。
④まとめ :これまでの意見を集約しまとめる。
グループワークの詳細
Q.「ケガをしにくいカラダ」とは?
A. 参加者の考え。
・体幹の安定性、バランス能力の向上、納豆とヤクルトを飲ませている。
・食事療法(ヨーグルトや納豆の摂取、オレンジジュースを飲ませている)。
・カラダがつくれているかどうか。
・栄養と休養がとれていること。
・柔軟性と筋力がありフォーム時の運動連鎖に無理がない。
・食事のバランス(栄養)がとれていること。
・睡眠がとれていること。
・運動の量と頻度が適切であること。
・精神面が安定していること。
・コーディネーション能力がある。
・姿勢が崩れても立て直す力がある。
・いろんな運動を経験している子。
Q.「疲労回復」の取り組みについて。
A. 参加者の考え。
・マンガ、テレビなどをみてリラックスさせる。お風呂にゆっくりつかる。
・週一でOFFをつくる。
・ご飯をバランスよく食べさせる。
・スポーツの事を考えさせないように勉強をしっかりとさせる。
・フォームローラー、呼吸(ピラティス)で意識的に力を抜く指導。
・ディープストレッチ。
・筋肉を結構使った日は、動物性タンパク質を多く取るよう指導。
・運動前後のストレッチ(静的動的のタイミングも考えて)。
・練習後のプロテイン。もしくは納豆1~2パック食べる。
・プールウォーキング。
・食事の前に栄養補助食品を食べるようにしている。
・整骨院でケアをしている。
・ヨガのインストラクターを呼んで柔軟性の指導を行なっている。
・運動後30分以内にタンパク質摂取や運動前に炭水化物を摂取するよう指導している。
参加者へのアンケート結果
今回の成果と今後の展望
■ クリニックの成果
「コーチングのヒント」
グループワークを体験することそのものが成果です。自分のチームに帰ったときに、今回の経験を選手に伝え、コーチングや練習内容の作成・ケガとの向き合い方について、チームでクループワークを行ってみて下さい。きっと新しい発見があるはずです。
「コーチングクリニックノート」
事前配布資料の他に、参加者がいつでも振り返れるように、当日の様子や議題、話し合われた内容やアンケートをまとめ、南川なりの解釈とアドバイスを加えたものをみなさまに配布します。今後の取り組みや展望を考える際に活用して頂ければ幸いです。
■ 今後の展望 「新しい体制の創造」
選手/指導者/保護者/医療機関/行政等のスポーツ競技に関係する各個人・団体が協力して、ケガの予防やケガからの復帰をサポートする一貫した体制が必要です。スポーツ選手に限らず、地域の皆さまが健康的でアクティブなライフスタイルを継続できる「All福岡」のシステム構築を目指します。
《システムの基本的な考え方》
ⅰ「選択肢と理由」
方針は、選手と指導者(保護者・コーチ・トレーナー・医療)が共に決める。
Shared Decision Making:”情報”を共有し意思決定をしていく姿勢が求められます。
【情報=正確な状況/必要性/予測される結果とリスク/選手・家族が理解できるかetc。】
ⅱ「ゴール」
重要なゴールは、長期にわたって選手として質の良い状態「Quality Of Sports Life」を保つこと。
■痛み、炎症、制限、疲労のような症状をコントロールする。
■関節や骨に対する損傷を起こさない。
■復帰に向けて身体機能を正常に戻し、再度スポーツ参加出来るようにする。
ⅲ「目標」
ゴールを達成するために重要な方法は、使い過ぎ”オーバーユース”を防ぐことです。
ⅳ「実践と評価」
明確な目標に向けて選手をコントロールすることは、スポーツ復帰に最も良い結果をもたらしま
す。それは、実践での活動性をチェックし、目標が達成されない場合に治療を見直す”実戦と評価”
の繰り返しによって可能となります。つまり、指導者同士(保護者・コーチ・トレーナー・医療)
の情報共有とコミュニケーションが重要になるのです。
選手の長期的Quality Of Sports Lifeを最大限まで引き出しましょう!
【お問い合わせ】TEL:092-891-1237 FAX:092-881-0200 担当者:リハビリテーション部 城ヶ崎 政光