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2020.11.24
【南川コラム】中高年に多い五十肩の原因と治療法
40歳〜50歳代にかけて多くなる肩の痛み。
その原因には様々ありますが、今回はその原因の一つである『五十肩(正式名:肩関節周囲炎)』について解説します。
五十肩ってどんな病気?
40~50歳代の方に多く、主に『肩の痛み』や『肩が動かしにくい』などの運動制限を中心とした疾患です。
痛みや運動制限によって日常生活の動作に支障をきたすことの多いのも特徴の一つです。
どんな症状が出るの?
・肩の痛み
(例:運動時の痛み、じっとしていても痛い、夜寝ていると痛い)
・運動の制限
(例:頭上の物が取りにくい、エプロン紐が結びにくい、髪を束ねにくい)
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安静時の痛み
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夜間時の痛み
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運動の制限(結帯動作)
※イラスト:日本整形外科学会ホームページより引用
五十肩は原因とは?

発症の原因はまだ解明されていませんが、肩の関節を構成する筋肉や腱、関節包及び滑液包(かつえきほう)などの組織が加齢により炎症が起こることが要因だと考えられています。日常生活での軽微な損傷(車の後部座席の物を取る時、棚の上のものを運んだ…などの小さな負担)がきっかけとなり、しばらくしてから痛みが出ることが多いです。
五十肩の治療法は?
一般的に肩関節周囲炎は、1~2年以内で自然治癒すると言われていますが、痛みの程度が強くなり日常の生活に支障が出てきたと感じた場合は、早めの受診をお勧めします。受診後は、経過時期に応じて治療の方針を決定します。
治療方針は主に2つあります。
・注射やリハビリ、薬で改善を図る『保存療法』
・保存療法では改善が難しい場合の『手術療法』
一般的には、まず経過時期に応じて保存療法を行います。

【経過時期による症状の特徴】
もし、保存療法で肩の痛みや動きの改善が不十分な場合は『手術療法』を検討します。
当院で実施している手術は『鏡視下関節包靭帯切離術』といい肩関節の中に関節鏡を挿入し、肩の状態を確認しながら硬くなっていたり、張りついている組織を切離したり、剥離したりします。
肩が痛くて動かせない時は、お気軽にご相談下さい。
Q&A(患者様からよくある質問)
Q.肩の痛みが治るまでにどのくらいの期間がかかりますか?
当院では、約8割の方が『3ヶ月〜半年』のリハビリ期間を経て症状が改善します。もし症状に改善を認めない場合は『手術療法』を検討します。肩の状態によっても治る期間は異なりますので、症状が気になる方は専門医の診察をお勧めします。
Q.反対側にも同じような症状が出ることはありますか?
稀に起こることがあります。
痛みの出ていた肩をかばうために反対の肩を酷使した結果 反対の肩に負担がかかり そちらも五十肩になるという患者様もいらっしゃいます。もし反対の肩に痛みが出始めてしまったら担当の医師や理学療法士へご相談下さい。
コラム監修

【記事監修】緑川孝二 医師
副理事長・南川スポーツ医科学研究所 所長福岡ソフトバンクホークス顧問医師(チームドクター)
【専門】
肩・スポーツ整形外科
【資格】
医学博士
日本整形外科学会専門医
日本整形外科学会認定スポーツ医
日本医師会認定健康スポーツ医