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2020.11.04
【南川コラム】あなたの肩の痛み、、、もしかすると腱板断裂かも?
腕を挙げるとズキッと肩が痛い!腕が重くて高いところに手が届かない!こんな症状はありませんか?
今回はその原因の一つである『腱板断裂』について解説します。
腱板断裂ってなんだろう?
腱板(けんばん)とは、肩の動きに関わる筋肉の中でも『棘上筋』『棘下筋』『肩甲下筋』『小円筋』の4つの筋肉の総称です。
別名インナーマッスルとも呼ばれ、肩を自由に動かす上で『肩の安定化』に関わる重要な筋肉です。そして、これら腱板がなんらかの誘因によって断裂した状態を『腱板断裂』と言います。
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肩の構造(前から見たイメージ)
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肩の構造(後ろから見たイメージ)
どんな症状が出るの?
・腕を挙げるときの痛み
・夜うずくような痛み
・腕を挙げるときに力が入らない
腱板断裂の原因とは?
・加齢に伴い肩の筋肉が脆くなり、傷んで徐々に切れてしまう変性断裂
・交通事故や転倒などの強い衝撃によって生じる外傷性断裂
腱板断裂の治療法とは?
保存療法の場合
腱板の断裂部が自然に治ることはありませんが、多くの場合はリハビリにより症状が軽減します。
また、痛みが強い場合は『鎮痛剤の服用』や『関節内への注射』を併用してリハビリを行っていきます。
当院では、『3ヶ月』を目安に痛みが取れない場合や、腕が上がらない場合は手術を選択される場合もあります。
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関節への注射
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お薬による痛みのコントロール
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運動療法を用いたリハビリ
手術療法の場合
当院では、傷口が小さく身体に負担の少ない関節鏡視下手術を行なっています。
<関節鏡視下手術について>
1㎝程の小さな傷口で、4〜5箇所程開けます。
上腕骨にアンカーを挿入し、腱板の断端に糸をかけて固定します。
術後は早期より機能回復のためのリハビリテーションが開始されます。
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正常な腱板
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断裂した腱板
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手術後の腱板
患者様からのご質問 ~ 専門医がお答えします ~
Q.どれくらいの期間で腕が上がるようになりますか?
早い方で3ヶ月、症状改善に時間を要する方で1年程度かかります。
なぜなら、断裂した『大きさ』や『切れ方』によって期間が異なるからです。
Q.どこまで改善しますか?
多くの方は、2〜3ヶ月程で日常生活やデスクワークなどの仕事が可能なレベルまで改善します。
ただし、目標とする状態や断裂の大きさによって個人差があります。
断裂を放って置いたらどうなりますか?
断裂部位が拡大する可能性が高まります。
断裂部位が拡大することにより、腕を上げにくくなったり、痛みが増強することがあります。
Q.手術時間はどれくらいですか?
断裂の状態にもよりますが、おおよそ1時間半〜2時間半です。
Q.手術をしても再び断裂する事はありますか?
可能性はあります。
特に手術から2〜3ヶ月後は、完全には治癒していない時期のため再断裂のリスクは高くなります。
また、この時期は活動量も増えてくるので注意が必要です。
コラム監修

【記事監修】緑川孝二 医師
副理事長・南川スポーツ医科学研究所 所長福岡ソフトバンクホークス顧問医師(チームドクター)
【専門】
肩・スポーツ整形外科
【資格】
医学博士
日本整形外科学会専門医
日本整形外科学会認定スポーツ医
日本医師会認定健康スポーツ医