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2020.10.27
【南川コラム】知っておきたい変形性膝関節症の原因と治療法
高齢社会の日本では、膝に不安を持つ人は1千万人にものぼるといわれています。
趣味や生活を制限されることなく、人生を楽しむために、知っておきたい変形性膝関節症の原因や治療法について解説します。
変形性膝関節症とは?
加齢に伴い膝関節の軟骨が少しずつすり減り、関節痛、こわばり、可動域制限や脚の変形を引き起こす病気です。
膝が変形してしまう…その原因とは?
もともと骨がO脚の人や若い時のケガが原因になることもありますが、一番は加齢に伴う『老化』です。
老化によって関節軟骨が年齢とともに弾力性を失っていきます。そして膝関節の使い過ぎによって関節軟骨はすり減り、徐々に足がO脚やX脚に変形します。軟骨がすり減ることにより関節への負担が増加して炎症が起こり、痛みが生じます。また、肥満も変形に影響を及ぼすと言われています。
膝が変形してくると、どんな症状がでるの?
一般的には中高年(50歳以上)の女性に多く、こわばり感や歩行時の痛みから始まります。
徐々に正座、しゃがみ込み、階段昇降などで膝の関節痛がみられるようになり、時には膝に水が溜まる、腫れる、炎症といった症状もみられます。
変形性膝関節症に対する当院の治療方針
保存療法について
保存療法の基本は『運動』と『薬』です。
症状の軽い時期であれば、太ももの筋肉を強化したり、痛み止めやヒアルロン酸注射をすることで、膝にかかる負担が軽減され痛みが落ち着くことが報告されています。
しかしながら、『痛くて夜も眠れない』『痛くて買い物にいけない』などの日常生活に支障がある場合や保存療法の効果を実感出来なかった場合は手術を提案させて頂きます。
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注射
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運動
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お薬
手術について
膝の重症度や年齢、生活背景に応じて高位脛骨骨切術または人工膝関節置換術を提案させていただきます。
高位脛骨骨切術(High Tibial osteotomy)
すねの骨を切ってO脚を軽度のX脚に変え、体重がかかる場所を膝の外側に移す手術です。手術後は膝の状態次第でスポーツも可能になります。人工膝関節置換術(Total Knee Arthroplasty)
傷ついてしまった膝の表面の軟骨や骨を切り取り、膝の変形を矯正し、金属やセラミック、ポリエチレンなどででできた人工関節に置き換える手術です。変形が高度な変形性膝関節症の方やリウマチの方が適応になります。Q&A 〜患者様からよくある質問〜
Q.膝を曲げる時に鳴る、痛みを伴わない膝関節内の音は何ですか?
関節の音の原因は諸説ありますが、はっきりしたことは分かっていません。
基本的には音が鳴るだけで症状を伴わなければ問題はないと考えられています。
Q. 正座をしている時に痛みを感じなければ正座をしても良いでしょうか?
痛みを感じなければ正座をしても構いません。
しかし、普段から膝に痛みがある場合は膝への負担を考慮して動作を避けることをお勧め致します。
もし、どうしてもしないといけない場合は膝の間にタオルなどを入れましょう。
コラム監修
【記事監修】市村竜治 医師
【専門】膝関節外科・人工関節・外傷
【資格】
日本整形外科学会 専門医
日本人工関節学会 認定医
日本DMAT医師