専門分野の取り組みとご案内 CLINICAL NAVI
2021.03.23
【南川コラム】前十字靭帯断裂された方へ/当院の手術後のリハビリを紹介します!
スポーツ膝障害の中でも頻度が高く、誰もがなり得る外傷に前十字靭帯損傷があります。
今回は、前十字靭帯損傷後からスポーツ復帰までのリハビリについて解説していきます。
前十字靭帯損傷とは?
大腿骨と脛骨を結ぶ靭帯の一つである前十字靭帯が、スポーツなどを行っている際に膝が捻れることにより損傷した状態をいいます。
どんなリハビリをするの?
前十字靭帯損傷後は、膝関節周囲の筋が小さくなり、筋力低下に繋がります。
手術後にスポーツ復帰をするためには、膝関節周囲筋が受傷前の筋力に近づく事が重要です。
当院でのリハビリの進め方について説明します。
手術前のリハビリ
■ 膝関節の曲げ伸ばし
■ 膝周りの筋力をつける
この2つのが重要です。
手術前にこのような状態をつくっておくことで、手術後の治療に大きく影響してきます。
手術後1日目〜
【徹底した腫れの管理】
膝は装具により固定され、松葉杖歩行になります。
『膝は曲げない!』
『足はつかない!』
手術後早期は炎症により腫れが出現します。
そのため、腫れの管理が重要になります。
なるべく足は挙上するようにします。
手術後1〜2週
【日常生活で立って歩くための筋力訓練】
手術後1週目から徐々に体重をかけ始め、術後2週目には全体重をかけられるようになります。
しっかり歩くために踏ん張る筋力をつけていきます。
-
スクワット動作
-
ランジ動作
手術後2週〜1ヶ月
【負荷のかからない姿勢を身につける】
この時期は、移植した靭帯が最も弱い状態です。
靭帯は弱いと切れやすくなります。
そのため、日常生活での動作は特に気をつけなければいけません。
歩く事は可能ですが、早歩きや走る事は禁止です。
手術後1ヶ月〜2ヶ月
【徹底的なトレーニング】
手術により移植した腱と骨がくっつく事で、徐々に移植した靭帯は硬くなります。
-
片脚スクワット
-
エルゴメーター
手術後2ヶ月〜3ヶ月
【ジョギング開始テストに向けて筋力訓練】
(健側に対して7割以上)
手術後3ヶ月にジョギング開始テストがあります。
再建靭帯は徐々に強度が増してくるため、少しずつ負荷をかけていきます。
-
バーベルスクワット
-
ブルガリアンスクワット
手術後3ヶ月〜5ヶ月
【スポーツ動作の獲得】
手術後9ヶ月〜1年で競技復帰を目指してトレーニングを行います。
-
ハムストリングス単独収縮
-
ジャンプ動作
-
方向転換や切り返し動作
-
ダッシュ動作
Q&A(よくある患者様からの質問)
なぜ痛くなくなったのにスポーツ復帰してはダメなの?
損傷した靭帯は元に戻ることはありません。
そのため膝崩れなどが起こり、二次的障害を引き起こすことがあるからです。
また、誤った動作を行うことで再断裂の可能性もあります。
スポーツ復帰まではどのくらいかかるの?
術後3ヶ月の段階でジョギング開始テストを行います。
その後、手術後5ヶ月のスポーツ復帰テストに合格し、手術後9ヶ月〜1年での復帰を目標にトレーニングを行っていきます。
再受傷する可能性はあるの?
再受傷する可能性はあります。
そのため、日常生活や運動時における注意点を理解する必要があります。
どんな姿勢が膝に負担がかかるの?
いわゆる内股といわれる膝が内側に入った姿勢です。
損傷時には膝が内側に入りつま先が外に向いて受傷する事が多いといわれています。
コラム監修
【記事監修】市村竜治 医師
【専門】膝関節外科・人工関節・外傷
【資格】
日本整形外科学会 専門医
日本人工関節学会 認定医
日本DMAT医師