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イベント 2021.04.12

【医療安全研修】新型コロナウイルスワクチン接種後のアナフィラキシーの初期対応。

新型コロナウイルスワクチン接種

 新型コロナウイルス感染症に対する予防手段として、ワクチンに大きな期待が寄せられています。令和3年2月から医療関係者を対象とした接種が始まっています。先行して接種が始まっている欧米では、重度の過敏症であるアナフィラキシーをきたす頻度が従来のワクチンよりも高いことが報告されています。しかしながら、アナフィラキシーの症状と対処自体は他の原因によるものと変わらず、新型コロナウイルスワクチンによるアナフィラキシーも適切な対処により回復します。今後、当院においてもワクチン接種が始まるため、新型コロナウイルスワクチン接種にともなう副反応のうち、特に重度の過敏反応(アナフィラキシー等)を起こし得る危険因子、管理、診断および治療について現時点の情報を整理し、適切にワクチン接種を行うための研修会を実施しました。

 

※「新型コロナウイルスワクチン接種にともなう重度の過敏症(アナフィラキシー等)の管理・診断・治療」の詳細に関しましては、

一般社団法人 日本アレルギー学会のホームページを御覧ください。

 

 

アナフィラキシーの初期対応。

対応の手順について

全スタッフが場所の把握をしておくことが大切。

①症状の確認
 ア)9割は皮膚症状、45%に消化器症状(下痢や嘔吐)。
 イ)皮膚症状+呼吸器症状
 ウ)その他
②初期対応の手順について
 イ)バイタルサインの確認
 ロ)助けを呼ぶ(館内放送ハリーコール)
③アドレナリンの筋肉注射※対応の肝
④患者を仰臥位にする(嘔吐中は側臥位)。
 ※急変の可能性があるためその場に留まるようにする。
⑤酸素投与。
⑥静脈ルート確保。
⑦心肺蘇生。アドレナリン注射。
⑧バイタル測定。
※必要な物品はQQボックスの中にまとめてワクチン接種会場に準備する。
※全スタッフが場所の把握をしておくことが大切!

看護師の役割

時間の管理と記録が大切。

■アドレナリンの適応
 グレードによる適応はあるが「迷ったら打つ!」。正常な方に打ってもほとんど影響がないといわれています(アドレナリンは喘息発作にも使用されています)。
■看護師の役割
①タイムキーパー※時間の管理と記録が大事(記入者がリーダー)
②バイタル
③ルート
④投薬
⑤処置の介助
■二峰性反応に注意
 8時間以内に起こることが多い。
 重傷者は24時間観察が必要。

挿管の練習(実技)

細かなコツなども説明確認しながら実施。

■挿管の練習(実技)
医師と看護師で確認しながら丁寧に実施しました。
①挿管セット・物品の確認
 ※日頃から機器の作動について確認が必要
②実際の挿管について
 ※急いでいるときでも使用機器の破損等の状態確認が重要。
 ※実際の場面で機材の向きや渡し方、やり取りのリズムで医師の対応に影響するため、細かなコツなども説明確認しながら実施しました。

地域の皆様に貢献できるように職員全員で万全の準備を。

 アナフィラキシー自体の発生頻度はまれで、医師や看護師でも対応したことの無いスタッフが大半です。それくらい非常にまれな症状です。頻度は100万回あたり11.1例(インフルエンザなどは100万回あたり1例)。75%は15分以内に症状が発生し、81%はアレルギーの既往があれば起こる可能性があるといわれています。そのため、ワクチンを接種する前には事前の問診が非常に重要になります。アナフィラキシーは準備をしておけば対応可能なため、今回の研修で行ったように事前準備が大切になります。実際のワクチン接種では、まずは当院のスタッフが対象になります。その後はかかりつけの外来患者さんにも投与を行っていく予定です。当院でもワクチン接種に関する方針や対応・対策を立てております。地域の皆様に貢献できるように職員全員で万全の準備を整えてその日を迎えたいと思います。

 

 

 

新型コロナウイルスワクチン専用ダイヤルが開設されています。

以下の内容に関してのご相談は「福岡県 新型コロナウイルスワクチン専用ダイヤル」をご利用下さい。

 

・ワクチンの副反応等に関するご相談

・ワクチンの有効性・安全性に関する情報提供

・副反応発生時の対応に関するアドバイス

・ワクチンの保管・管理に関する情報提供

 

詳細は福岡県のホームページをご確認下さい。

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